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Channel: クラージュせたがや ~Courage Setagaya~
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浮嶋監督から智監督へ、紆余曲折を経ながらも進化したこの2年余り

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19年10月に元監督をはじめとするクラブ内部の問題から危機に陥ったところを救ったのは当時アカデミーダイレクター兼U-18監督だった浮嶋さんだった。まず監督交代前を含め4試合連続3失点以上していたところから、プレーオフを含むラスト5試合でいずれも1失点以内に収めてギリギリだが残留するところまで導いた。
浮嶋監督の下でのベストゲームの一つ、32節のFC東京戦(アディショナルタイムだけが何かと惜しまれるが)では隙なく守り、ボール奪取から切れ目なく速攻でゴールを奪うというほぼ理想的な展開。あのアディショナルタイムでのロングシュートを別にすれば相手に与えた決定機も1つくらいではなかったか。

翌年は複数の主力選手の移籍そしてコロナ禍で厳しいスタートになった。中断前も含めて開幕5試合(以下、注釈無い場合以外はリーグ戦を指す)勝ち無し。6節での1勝の後は8試合勝ち無し。16節でアウェイ初勝利の後はまた6試合勝ち無し。優勝チーム川崎などに先制するなど魅せたと思ったら逆転を喫したり、終盤まで粘り強く戦っても同点ゴールや決勝ゴールを奪えなかったり、本当にもどかしい時期だった。
しかし23節からの6試合(延期1試合含む)は4勝2分と進化を見せた。特に27節の神戸戦では前半を谷晃生の相次ぐ好セーブでしのいだ後、後半に自陣からショートパスの連続から得たカウンター攻撃の好機を岡本拓也が活かして先制、さらにその後には同シーズンベストゴールにも選ばれる齊藤未月のハーフウェイ付近でのボール奪取から即放った超ロングループシュートと、同シーズンの好守両面のグッドポイントが凝縮されていた。
なお17節の清水戦の後、今年の最終戦まで1年3か月もの間3点差以上の敗戦がないことは特筆しておきたい。そのきっかけの一つに19節の川崎戦で初めて採用された舘幸希・石原広教・田中聡の3バックがあげられる。メンバー構成や個々の位置は特に翌シーズンには変わっていったが、俊敏性や読みを活かした守備と機をみての攻撃参加、前方へのフィードがこのチームの新たな魅力の一つになった。また4失点の試合もここ2年間で各1試合に留まる。例え劣勢であってもそれだけ粘り強く戦えるようになったことの証といえる。
手ごたえはあるようにも見えるのに、昨シーズンオフもまた複数の主力選手移籍に遭う。海外挑戦はともかく、下部カテゴリーへの移籍まであった。いくら最下位(コロナ禍の特例で降格無し)とはいえ・・・。

今シーズンはコロナ禍による外国人選手合流が遅れたこともあり開幕3連敗。しかし残留を争うことになる仙台との4節での直接対決では勝利。翌5節では先制しながらも逆転負けと昨シーズン同様の勿体なさを見せてしまったが、その後は8試合で2勝6分(ルヴァンカップ含めると12試合で3勝9分)と、今季の特徴の一つ「負けない湘南」ぶりを見せた。アウェイで先制点を与えても同点に持ち込む試合も2つ(ルヴァンカップ含めると3試合)。
しかし、この頃の負けない湘南は時にもろさも見せる。14節では当時未勝利の横浜FCに序盤で失点を喫して0-2と今季初勝利を許容して翌15節も敗戦、その後川崎戦から4試合負け無しとするも20節の柏戦では判定等への不信などから自滅したかアディショナルタイムに3失点の大逆転負けでそこから5連敗。その後4試合負け無しと盛り返して26節には不調のC大阪から5得点で勝利するなど、概ね残留ライン以上をキープはしていたが、クラブは9月の代表ウイークに一つの決断を下した。
この決断は長期的に見れば理解できる面もあった。とはいえ、残留できなければ元も子もない。実際、いくら選手時代に輝かしい実績を残した方であっても再開初戦の大分との直接対決を落とすなど、新人監督の難しさも見えた。山口智監督の指導が軌道に乗ったと初めて言えるようになったのは33節の横浜FC戦の終盤での逆転勝ち。32節からのラスト7試合では2勝4分1敗で各試合の失点は1以下と、残留争いを優位に進めた。23歳・オリベイラの急逝という悲しみを抱えて37節の徳島との直接対決には臨まざるを得なかったが、その敗戦の後をひきずらず最終節では勝ち点1を得て(他の試合の結果も受けてだが)残留を成し遂げた。

その最終節ではホーム同様にアウェイでもG大阪相手にゲームとボールを支配していくつもの決定機を生み出し、相手には攻勢の時間帯を作らせず決定機も1つ位しか許さないという、チームの進化を見せた。さらには今シーズンの得失点差は-5(36得点41失点)と、7勝16分15敗(16位)という勝敗のチームとしては異例の少なさ。3点差以上の負けは皆無で2点差の敗戦は5試合どまりと相手を問わない粘り強さを見せた一方で3試合で3得点以上と相手の隙あらば大量点を奪うこともできた。
これはここ2年余りチームが紆余曲折を経ながら築き上げたものに他ならない。チョウキジェ元監督が7年余りで作り上げた、ハードワークからのボール奪取・速攻という土台、浮嶋前監督が植え付けたパス連携やインテリジェンスなど新たなエッセンスなどの意識、ここにまた智監督が新たな何かを加えていっている。もちろん、勝利をコンスタントに積み重ねるためにまだ足りないものは明らかだが、そこだけを無理に強化しようとすると副作用があることもまた他チームが示している。主力選手を残留させながら、そのためのほんの少しの何かを会得するための準備はすでに始まっているはず。本当に、2か月後に始まるであろう新シーズンが楽しみである。
最後に・・・浮嶋さん、最優秀育成クラブの土台を築き、2年前のあの時には火中の栗を拾ってくれてありがとうございました。そして・・・Para sempre, Oliveira.

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